失敗しない土地活用 事業計画シュミレーションの活用
Ⅰ事業計画シュミレーションとは
事業計画シミュレーションはオーナー自らの事業計画確定における伝家の宝刀で賃貸事業が賃貸期間を通じて収益性が維持され、それを受けてキャッシュフローが正常に流れ資金ショートが起きないかを監視するためのツールです。
賃貸事業の成果は賃貸期間通じての収益性の維持、資金ショートが発生しないことで評価されますが、それは初期設定の設定内容で9割決まります。ですから初期設定ではオーナー自ら地域の賃貸需要及び市場参加者(入居予定者)のニーズの把握をはじめとするマーケティングにもとずき適正な客観的データを設定すべきです。業者はオーナーを納得させるため初期設定で偽装データを設定し見かけ上収益性が維持され資金ショートも発生しない事業計画シュミレーションを出してくる場合がありますが信じてはいけません。実際に賃貸が開始されて以降に想定外の低収益にみまわれ資金ショートに至ることになります。
ですから事業計画シュミレーションは土地オーナーご自身が検証し不適正な提案は拒否できるレベルになっていただく必要があります。
事業計画シュミレーションはキャッシュフローとしての機能も併せ持っています。キャッシュフローとは主に企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいいます。
キャッシュフローを絶えず監視する必要があるのは世間で言われる黒字倒産、資金ショートに陥らないためです。賃貸経営も一般企業の経営と同じく手元の資金が不足すると銀行への返済額、設備会社への保守料、管理会社への管理委託料等が払えず事業は倒産状態になり事業の土地建物を売却することになってしまいます。
したがって、このような状況にならないように賃貸期間を通じて各年度ごとに入出金状況予測を各項目綿密に行い資金ショートが起こらないように初期設定で事業計画シミュレーションに反映させる必要があります。
Ⅱ事業計画シュミレーション構成
満室想定家賃収入 →家賃下落想定は適切か?
ー空室・滞納損失 →空室率は適正か?
実効総収入
ー運営費用 →時期ごとの修繕費は考慮されているか?
NOI(純営業収益) →÷総投資額=FCR(総収益率:本当の利回り)
ー元利返済額 →自己資本多く、借入期間長く、借入金利低いか?
税引前CF →税引後CFまで計算されているか?
NOI(純営業収益)
ー`ローン利息 →年数経過とともに減少していく。
ー減価償却費 →15年目あたりで急激に下落してデッドクロスを引き起こす。
不動産所得 →デッドクロスで急増
×適用税率
納税額 →同上
税引前CFー納税額=
税引後CF →実質手取り額。デッドクロスで急減
Ⅲ事業計画シミュレーション活用事例
1 初期設定ににおける収益性検証
→立地で考えられる活用方法のそれぞれの収益を比較し最も高い数字を示す活用方法に決定するのに用います。(これにより最有効使用を決定出来ていることになります。)
→賃貸期間にわたり収益性が維持され資金ショートが起きないか検証でき、オーナーが長期間事業を行っていくか否かの判断に用いられます。
2 時期ごとに打つべき対策後の収益性検証。デッドクロスの予測。
→どの時期に収益性が低下し、キャッシュが不足するかの判定に用いられ、これにより一括借り入れ残高返済、減価償却費が高い中古物件への投資等の対策を講じることになり、対策後において収益性、キャッシュフローが改善してるか検証します。
3 相続対策後の収益性維持検証
→相続対策で相続税評価額を低減することと収益性を維持することは関連性ははありませんから相続対策とは別に事業計画シュミレーションで収益性が長期的に維持されているか監視しておく必要があります。
4 サブリース適用時の収益性ダウン検証
→サブリースを契約すると通常年、契約10年以降に収益性を低くし資金ショートを発生させる原因になることを事業計画シュミレーションで検証しておく必要があります。
5 修繕計画のスケジューリング後の収益性検証
→大規模修繕をはじめとして修繕費が収益性、キャッシュフローに影響しないかの検証に用いられます。
6 事業融資額返済計画、返済残高と税引後CF累計の比較
→資金ショートが生じないか各年度監視する必要があります。税引後CF累計額が返済残高を超える年度で優良賃貸事業か否かの判断ができます。
7 FCR (総収益率:本当の利回り)、YG(イールドギャップ:借入ある場合の利回り)、税引前CF、税引後CFで客観的に収益性を確認。
→全国地域別活用方法別に~%以上が望ましいとデータで出てますので検証材料としてお使いになられるといいと思われます。
8 業者の提案の良し悪しの検証に自ら作成の事業計画シミュレーションを活用します。