GX-ZEH賃貸マンション建てるには━━性能要件、コストアップ、補助金申請

GX-ZEH賃貸マンションは、国の2050年カーボンニュートラル実現に向けた、非常に高い省エネ性能を持つ次世代型の賃貸住宅です。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を大きく上回る性能が求められます。
2025年7月21日現在の情報に基づいて、GX-ZEH賃貸マンションに求められる要件、コストアップ、補助金申請スケジュールについて説明します。
1. GX-ZEH賃貸マンションに求められる省エネ性能
GX志向型住宅(GX-ZEH賃貸マンションもこれに該当)は、以下の3つの基準を満たす必要があります。
- 断熱等性能等級6以上:
- 住宅の外皮(壁、屋根、床、窓など)の断熱性能を示す指標で、UA値(外皮平均熱貫流率)が用いられます。
- 地域区分によって基準値は異なりますが、例えば、温暖な地域(地域区分4〜7、関東以南など)ではUA値が0.46W/㎡・K以下という非常に厳しい基準が求められます。UA値が低いほど、外気の影響を受けにくく、冷暖房効率が向上します。
- 再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量削減率35%以上:
- 住宅で消費されるエネルギー(冷暖房、換気、給湯、照明など)のうち、再生可能エネルギーによる発電分を除いた消費量を、一般的な住宅と比較して35%以上削減する必要があります。
- これは、高効率な設備(高効率エアコン、LED照明、高効率給湯器など)の導入によって達成されます。
- 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率100%以上:
- 上記の一次エネルギー消費量削減に加えて、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備を導入し、住宅で消費されるエネルギーを実質的にゼロ(またはプラス)にすることを目指します。
- 寒冷地など一部地域では、75%以上の削減でも認められる場合があります。
これらの基準を満たすためには、高断熱化と高効率設備の導入が不可欠です。
2. 再生可能エネルギー設備
GX-ZEH賃貸マンションにおいて、再生可能エネルギー設備は実質的に必須となります。特に以下の設備の導入が一般的です。
- 太陽光発電システム:
- 最も主要な再生可能エネルギー設備であり、消費エネルギーを100%以上賄うために必須となります。
- 賃貸マンションの場合、共用部だけでなく、各住戸の電力消費も賄う計画が求められます。
- 適切な日照条件や屋根のスペース確保が重要です。
- HEMS(Home Energy Management System):
- 高度なエネルギーマネジメントシステムであり、住宅全体のエネルギー使用量を「見える化」し、効率的なエネルギー管理を可能にします。
- GX志向型住宅ではHEMSの導入が必須とされています。
- 蓄電池:
- 太陽光発電で発電した電力を蓄え、夜間や悪天候時にも使用できるようにすることで、エネルギーの自給自足率を高め、停電時にも電力供給を可能にします。
- 高効率給湯器:
- エコキュート(ヒートポンプ給湯器)、ハイブリッド給湯器、エネファーム(家庭用燃料電池)など、従来の給湯器よりも少ないエネルギーで効率的にお湯を沸かす設備も省エネ性能の向上に貢献します。これらは再生可能エネルギー設備そのものではありませんが、省エネ化に大きく寄与します。
3. それによるコストアップ
GX-ZEH賃貸マンションは、従来の賃貸マンションと比較して建築コストが大幅にアップする傾向にあります。主な要因は以下の通りです。
- 高性能な断熱材と高気密化:
- 断熱等性能等級6を達成するためには、壁、屋根、床、窓などに高性能な断熱材を厚く施工し、気密性を高める必要があります。これには、一般的な住宅よりも高価な建材や専門的な施工技術が求められます。
- 高性能な窓・サッシ:
- 複層ガラスやトリプルガラス、断熱性の高いサッシ(樹脂サッシなど)の採用は、断熱性能向上に不可欠ですが、コストも高くなります。
- 高効率な設備機器:
- 高効率エアコン、LED照明、高効率換気システム、高効率給湯器などの導入費用がかかります。
- 太陽光発電システムと蓄電池:
- これらは初期投資として数百万円単位の費用がかかる場合があります。特に賃貸マンションの場合、規模が大きくなるため、その分コストも増大します。
- HEMSの導入費用:
- エネルギー管理システム自体の費用と設置費用が発生します。
- 設計・施工の専門性:
- 高度な省エネ性能を実現するためには、専門的な知識と技術を持つ設計事務所や施工会社を選ぶ必要があり、その分の費用も上乗せされる可能性があります。
具体的なコストアップの幅は、マンションの規模、設計、導入する設備によって大きく異なりますが、一般的な賃貸マンションと比較して10%〜30%以上のコストアップとなるケースも少なくありません。
ただし、長期的に見ると、入居者の光熱費削減に繋がり、付加価値の高い物件として、高い入居率や家賃設定が可能になるなど、投資回収のメリットも期待できます。
4. 2025年7月23日を起点とした補助金申請スケジュール
現在の情報(2025年7月23日時点)では、「住宅省エネ2025キャンペーン」が進行中です。 このキャンペーンは、国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携して実施しており、GX志向型住宅を含む高い省エネ性能を持つ住宅の新築やリフォームを支援しています。
特に「GX志向型住宅」は、すべての世帯が対象で、1戸あたり最大160万円(戸建の場合)の高額な補助金が受けられます。賃貸住宅も対象に含まれています。
具体的な申請スケジュールは以下の通りです。
- 交付申請の予約:
- 予算上限に達するまで(遅くとも2025年11月14日まで)
- 予約することで、補助金の枠を確保できます。
- 交付申請:
- 予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)
- 賃貸住宅の新築は、2025年6月30日から交付申請が可能となっています(期の上限額に達していない場合に限る)。
【現在の状況(2025年7月23日時点)と注意点】
- 予算の進捗: 住宅省エネ2025キャンペーン公式サイトによると、2025年7月22日時点で、新築・GX志向型住宅分の予算に対する補助金申請額の割合が100%に達し交付申請受付を終了しましたと公表されました。
- 早期終了の可能性: 補助金は予算に限りがあり、申請が集中すると早期に受付が終了する可能性があります。特にGX志向型住宅は人気が高く、予算消化が早い傾向にあるため、既に交付申請受付は終了しましたが、GX志向型住宅補助金以外にもGX-ZEH賃貸マンションを建てる際に利用できる補助金制度は複数あります。
- 1.ZEH支援事業(ZEH-M補助金) 低層(1~3階);補助金40万円/戸 、中層(4~5階);補助金40~50万円/戸、高層(6~21階);補助金40~50万円/戸
- 2.子育てグリーン住宅支援事業(ZEH水準住宅)ZEH水準を満たす住宅が対象;補助金40万円/戸
- 3.賃貸集合給湯省エネ2025事業: 賃貸集合住宅のオーナー向けに、従来型給湯器を小型の高効率ガス給湯器へ交換する費用の一部を補助する「賃貸集合給湯省エネ2025事業」も別途実施されており、こちらは一戸当たり最大200万円の高額補助金を受けられる可能性があります。
- 2025年のGX志向型住宅補助金が、2027年に義務化される、あるいは標準化される「新しいZEH基準」とほぼ同等か、それを先取りするレベルの高性能住宅の普及を促進するためのものだったという点です。
- 先行普及の促進: 2027年に本格的に導入される高い省エネ基準に、市場を早期に慣れさせ、普及を加速させるためのインセンティブとして、2025年のGX志向型住宅補助金が設定されました。
- 基準の整合性: GX志向型住宅の基準は、まさに2027年に見直されるZEH基準の主要な要素(断熱等級6以上、再エネ除く一次エネ削減率35%以上、HEMSなど)をすでに満たすように設定されていました。これは、将来の義務化や標準化を見据え、高性能住宅への移行を促す意図があったことを示しています。
- 国の目標達成への貢献: 日本は2050年カーボンニュートラルの目標を掲げており、建築物の省エネルギー化は不可欠です。補助金を通じて高性能住宅の建築を奨励することで、将来的な省エネ基準の底上げや、最終的な脱炭素社会の実現に貢献しようとしています。
- したがって、2025年のGX志向型住宅補助金は、2027年からのZEH基準見直し(より厳格な基準の適用)を前に、「未来の標準」となるべき高性能住宅の建築を経済的に支援し、市場での普及を加速させるための戦略的な施策だったと言えます。補助金は終了しましたが、目指すべき住宅性能の方向性は変わっていません。
申請手続きのポイント:
- 事業者の連携: 補助金申請は、通常、施主(オーナー)が直接行うのではなく、建築を依頼する工務店やハウスメーカーなどの事業者が代行して行うことがほとんどです。そのため、GX-ZEH賃貸マンションの建築実績や補助金申請に詳しい事業者を選ぶことが重要です。
- 必要書類の準備: 補助金申請には、設計図書、性能証明書、見積書など、多数の書類が必要になります。事前に事業者と連携し、滞りなく準備を進めましょう。
- 最新情報の確認: 補助金制度の内容やスケジュールは、予算の状況や政府の方針によって変更される可能性があります。常に最新情報を、住宅省エネ2025キャンペーン公式サイトなどで確認するようにしてください。
GX-ZEH賃貸マンションはZEH賃貸マンションに比べてさらに高断熱性、高省エネ性、再生可能エネルギーが求められるため高断熱化工事、高省エネ設備、再生可能エネルギー設備、HEMS設備、蓄電設備等が必要になりコストが従来マンションより10~30%アップします。
しかしそれにより入居者にとっては光熱費ダウン、快適性、環境性、売電等でメリットとなり、オーナーにとっては家賃が高く取れ、空室率も低下し収益性が上がり、資産性も高く維持可能で、環境にも貢献してるということで地域の社会的地位も向上するという入居者、オーナーにWin-Winの関係が実現します
ここで気を付けていただきたいのが入居者とオーナーで上に示したようにWin-Winの関係が実現するには当初のGX-ZEH賃貸マンションの事業計画で補助金を活用し、太陽光発電の運用形態を検討し、付加価値に見合う高賃料の査定を通じて収益性が維持されるように仕組み作りが必要になるということです。
業者に任せておけば自動的に収益性があるGX-ZEH賃貸マンションが出来上がるという考えは大きな間違いです。
オーナーご自身が当サイトがご提案させていただくプラン、運用形態、家賃設定を自ら現地周辺を歩き賃貸需要を把握の上、検証、修正いただき、最終的に賃貸事業計画の確定をしていただく必要があります。
GX-ZEH賃貸マンションに関してどんなことでも不明な点があればお気軽にお問い合わせください。
当サイトは土地活用の専門家として相続税対策、オーナー自らの事業計画確定、失敗しない土地活用をベースに、トップZEH建設企業と連携し、収益性、快適性、社会貢献性を最大化するZEH賃貸事業のご提案をさせていただいております。
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