GXエネルギー政策の国家プロジェクト「核融合発電」━━再生可能エネルギーや既存原子力技術の次に続く長期戦略の柱

核融合プロジェクトは、現在の日本のエネルギー政策(GX)において、「ゲームチェンジャー」技術として、再生可能エネルギーや既存原子力技術の次に続く長期戦略の柱として位置づけられています。

GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けたエネルギー政策は、「2050年カーボンニュートラル」の達成と「エネルギーの安定供給」を大前提として、**今後10年間(2023年〜2032年頃)を「勝負の10年」**と位置づけたロードマップ(GX実現に向けた基本方針)に基づき進められています。

今後の主要な電源の実現性、予算確保を考慮した現段階での主要なスケジュール感は以下の通りです。

📅 エネルギーミックスのスケジュール感

1. 太陽光発電・風力発電(再生可能エネルギーの主力電源化)

再生可能エネルギーは、**2030年度の電源構成目標(36〜38%)**の達成に向けて、最優先で導入・拡大が進められています。

  • 太陽光発電
    • 導入拡大のフェーズ2020年代後半にかけて、住宅・産業用双方で導入を加速。
    • 重要施策:既存の公共施設や企業の敷地・屋根への設置義務化の検討、地域共生型の事業の促進、出力制御の対策強化など。
  • 風力発電
    • 洋上風力発電の本格展開2030年までに1,000万kW2040年までに3,000万kW〜4,500万kWの導入を目指す。
    • 重要施策:導入のポテンシャルが高い区域の選定・公募の加速、サプライチェーンの強化、送電網の整備(海底直流送電等)など。

2. 次世代革新炉発電(原子力発電の活用)

既存の原子力発電所の最大限の活用と、次世代革新炉の研究・開発・建設の推進により、2050年に向けた脱炭素電源の選択肢の一つとして位置づけられています。

  • 既存炉の活用2020年代後半以降も、安全性が確認された原発の再稼働を促進し、運転期間延長の制度化を進める。
  • 次世代革新炉の開発・建設
    • 2030年代半ば実証炉の建設開始を目指す。
    • 2040年以降運転開始を目指す。
    • 具体的な炉型:高温ガス炉、高速炉、小型モジュール炉(SMR)などが検討されており、SMRは2030年代前半実証を目指すなど、炉型ごとにロードマップが進んでいます。

3. 核融合発電(究極のクリーンエネルギー)

実現すれば電力供給の安定化と脱炭素に大きく貢献する技術として、国家プロジェクトとして集中的な投資が行われています。

  • 開発・技術実証
    • 2020年代後半:核融合エネルギーの実用化に必要な基盤技術の開発・確立
    • 2030年代発電実証に向けた段階的な取り組みを進める。
    • 目標2050年頃まで商用化を視野に入れ、2040年代発電実証炉の建設を目指す動きが加速しています。

💰 予算確保と財源

これらのエネルギー転換を支えるための財源として、政府は今後10年間で150兆円超の官民協調投資を誘導することを目指しており、そのための枠組みが整備されています。

  • GX経済移行債(仮称)
    • 目的:脱炭素化に向けた大規模な先行投資(太陽光、洋上風力、水素、次世代革新炉、CCUS/カーボンリサイクルなど)を賄うための20兆円規模の国債。
    • 償還方法2028年度以降に導入される炭素賦課金や**排出量取引制度(GX-ETS)**の収益によって償還される仕組みです。

これにより、未来への投資を現世代の負担に偏らせず、脱炭素化の進展とともに発生する収益で賄うという仕組みが構築されます。


GX実現に向けた政策パッケージには、このほかにも水素・アンモニア供給網の構築や**CCUS(CO2の回収・貯留・利用)**の推進など、多岐にわたる施策が含まれています。

💡 核融合エネルギープロジェクトの現在の優先度

高市早苗氏が科学技術担当大臣時に立ち上げ、岸田政権下で1,000億円規模の予算が確保された報道のある核融合プロジェクトは、実現性、膨大な予算、成果が表れるのが長期間を要するという点で、現在の国家プロジェクトにおける優先度を議論する上で非常に重要な論点を含んでいます。

しかし、現在の日本のエネルギー政策および科学技術戦略において、核融合プロジェクトの優先度は、「最重要の将来投資」として極めて高い位置づけにあり、その背景には以下の論点があります。


1. 政策上の優先度:長期的な「エネルギー安全保障」

現在のエネルギー政策の最大課題は、エネルギーの安定供給(安全保障)と脱炭素化の両立です。

  • 不安定な国際情勢への対応:ロシアのウクライナ侵攻以降、化石燃料の供給リスクと価格変動が顕著になり、国産の準無尽蔵なエネルギー源の確保が国家の最重要課題となっています。
  • 「究極のクリーンエネルギー」への期待:核融合は、CO2を排出せず、燃料資源(重水素やリチウム)も海水から得られるため、将来的にエネルギー自給率を劇的に向上させ、日本のエネルギー安全保障を恒久的に確立できる可能性があります。
  • GX戦略における位置づけ:短期的な対策(再エネ拡大、既存原発活用)と並行して、2040年以降の新たな選択肢として、国がリードして技術開発を進めることが**「未来への投資」**として強く求められています。

2. 予算の妥当性:国際競争力と「投資効果」

核融合開発は、米国、EU、中国などが国家戦略として巨額の投資(数十兆円規模)を行っている国際的な競争分野です。

  • 「勝ち筋」への集中投資:日本はITER(国際熱核融合実験炉)計画への貢献で培ったプラズマ制御、超伝導、材料技術など、世界トップクラスの技術的優位性を持っています。1,000億円規模の予算は、これらの優位性を失わず、商用化に向けた**「実証炉」開発競争に生き残るための最低限かつ戦略的な先行投資**と見なされています。
  • 民間参入の促進:この国家予算は、民間企業の参入と投資を呼び込むための**「呼び水(シードマネー)」**としての役割が非常に大きいとされています。政府がリスクの高い初期段階を支援することで、研究開発を加速し、最終的なコスト削減と実用化の時期を早める効果が期待されています。

3. スケジュールと「短期的な成果」

ご指摘の通り、商業炉実現は10年単位の先ですが、プロジェクトは具体的な目標とマイルストーンを持って進められており、単に未来を待つものではありません。

  • 2030年代発電実証に向けた研究開発、および実証炉の設計・建設開始が目標とされています。
  • 短期的な成果
    • 技術転用:開発過程で生まれた超精密加工、極限環境材料、AIを活用した高度制御技術などは、他の産業分野(医療、半導体、宇宙開発など)にスピンオフされ、短期的な経済効果を生み出すことが期待されています。
    • 人材育成:最先端の科学技術に携わる高度な専門人材(フュージョン・アカデミア)の育成は、日本の科学技術力全体の底上げにつながります。

したがって、核融合国家プロジェクトは、**「現在のエネルギー危機を乗り越えるための最長期的かつ最も重要な戦略」**として、予算確保の優先度が極めて高いと判断されています。

⚡ 核融合発電とSMRの優先度比較

核融合発電と小型モジュール炉(SMR)は、どちらもGX戦略における次世代の脱炭素電源として重要ですが、**「実用化までの時間軸」「役割」**が異なるため、優先度と予算配分も異なっています。

1. 小型モジュール炉(SMR)の優先度:中期的・早期の実用化

SMRは、既存の軽水炉技術をベースに小型化した原子炉です。その優先度は**「中期的・現実的な脱炭素電源」**として設定されています。

項目SMRの特徴優先度・予算の考え方
実用化の時期2030年代半ば運転開始を目指す。比較的早く実現し、既存のエネルギーインフラに組み込みやすいため、中期のエネルギー安定供給への貢献度が高い。
役割既存の原子力技術の代替・更新。工場で製造し輸送可能なため、建設コストや期間の削減が見込める。安全性と経済性の確保に重点を置いた規制整備と、民間企業による実証・建設支援に予算が投じられる。
予算配分既存の原子力技術の延長線上にあるため、民間投資を積極的に呼び込み、政府は規制・基準整備や研究開発への支援を重点的に行う。

2. 核融合発電の優先度:長期的・「究極の目標」

核融合発電は、新たな物理現象を利用する発電方式です。その優先度は**「長期的なエネルギー自給達成のためのフロンティア(最先端)技術」**として設定されています。

項目核融合の特徴優先度・予算の考え方
実用化の時期2040年代発電実証炉建設2050年頃の商用化を目指す。リスクは高いが、成功すればエネルギー安全保障を恒久的に確立できるため、国の長期戦略として最優先で投資される。
役割エネルギー構造全体のゲームチェンジャー。核燃料やCO2排出の制約から解放される。物理的な基礎研究から工学的な技術確立まで、国家がリスクを負って研究開発をリードする必要がある。
予算配分民間企業だけでは困難な巨額の先行投資基盤技術開発に対し、国家予算(GX経済移行債を活用した20兆円の枠組みなど)から集中的に投じられる。

📊 まとめ:予算配分の戦略

現在のGX予算配分の戦略は、短期・中期・長期の視点に立って、異なるリスクとリターンを持つ技術に資源を振り分けています。

  • 短期〜中期(SMRなど)既存技術の改良・小型化により、確実かつ早期に脱炭素化と安定供給に貢献させる。このフェーズでは民間投資の役割が大きい。
  • 長期(核融合など)技術的なブレイクスルーを通じて、日本のエネルギーの未来を根本的に変える可能性に投資する。このフェーズは国家が主導してリスクを取る必要がある。

結論として、核融合への1,000億円規模の予算は、SMRの予算を奪うものではなく「究極のエネルギー安全保障」という異なる目標に向けた長期的・戦略的な先行投資として、極めて高い優先度が与えられていると言えます。

🔬 核融合発電 実用化の技術マイルストーン

核融合発電の実現は、以下の**3つの技術的な段階(マイルストーン)**を経て進められています。日本を含む各国は、これらの段階を可能な限り早く、効率的に達成することを目指しています。

1. 炉心プラズマの物理実証(完了)

  • 目標: 核融合反応を持続的に起こし、投入エネルギーを上回るエネルギーをプラズマから取り出すこと($Q>1$の達成、点火条件の達成)。
  • 現状: 国際熱核融合実験炉(ITER)計画や、日本が関わるJT-60SAなどの大型トカマク装置がこの目標を担っています。特にJT-60SAは、核融合反応の効率を示す$Q$値で世界最高レベルの性能達成を目指し、日本の優れた技術力を示しています。

2. 工学実証(2030年代中盤まで)

  • 目標: 炉心プラズマに加え、発電に必要な周辺技術の工学的実現性を実証すること。具体的には、以下の課題解決を目指します。
    • 燃料増殖技術(ブランケット): 燃料となる三重水素(トリチウム)を炉内で自給する技術。
    • 材料技術: 連続運転に耐えうる耐熱・耐放射線性材料の開発。
    • 連続運転技術: 安定したプラズマを長時間維持するための制御技術。
  • 現状: このフェーズは、ITERの成果を活用しつつ、実証炉(DEMO)の設計・開発に向けて、各国が独自に重点的な研究開発を進めている段階です。日本の1,000億円予算は、主にこの工学実証を加速させるために投じられています。

3. 発電実証炉(DEMO)の建設・運転(2040年代)

  • 目標: 実際に電力網へ電力を供給できる、本格的な発電プラントとしての実現性・経済性を検証すること。
  • 現状: 各国は、2040年代の運転開始を目指し、DEMO炉の概念設計や建設場所の選定を進めています。この実証炉が成功すれば、その経験とデータに基づき、**2050年頃の商用炉(商業発電所)**建設へと移行します。

🚀 日本の核融合ロードマップの加速

日本政府は、このマイルストーンを加速するため、産学官連携の「オールジャパン」体制を構築しています。

  • 戦略的な重点化: 従来のトカマク型(ITERで採用)に加え、国内の大学やベンチャー企業が持つヘリカル型やレーザー型など、多様な方式の研究開発も支援し、成功確率を高めています。
  • 民間との協調: **ベンチャー企業(例:京都フュージョニアリング、Helical Fusionなど)**に対する技術・資金支援を強化し、国の研究成果を迅速に民間の力で商業化へ繋げることを目指しています。

これにより、日本は、単なる基礎研究に留まらず、「発電」を最終目標とする工学フェーズへの移行を、国際的な競争の中で主導していくことを目指しています。

🚧 核融合発電プロジェクトの具体的な課題点

核融合発電は「究極のエネルギー」と期待される一方で、商用化を実現するためには、依然としていくつかの技術的・工学的なブレークスルーが必要です。

1. 技術的課題

  • 炉壁材料の耐久性:
    • 核融合反応では、超高温のプラズマ高エネルギーの中性子が発生します。発電炉を長時間安定して運転するには、これらの過酷な環境に耐えうる超耐熱性・耐放射線性の新しい材料を開発し、その耐久性を保証する必要があります。
    • これは、単にプラズマを発生させることとは別の、工学的に最も難易度の高い課題の一つとされています。
  • 三重水素(トリチウム)の自己増殖:
    • 燃料の一つである**三重水素(トリチウム)は天然にはほとんど存在しないため、炉内でリチウムからトリチウムを生成し、回収・再利用する「燃料増殖技術(ブランケット技術)」**を確立する必要があります。
    • このトリチウムの生成率や回収効率が、核融合発電所の持続的な運用に直結します。
  • プラズマの長時間制御:
    • プラズマを数秒や数分ではなく、数か月、数年といった単位で安定的に閉じ込めるための高度な制御技術(AI活用を含む)を開発する必要があります。

2. コスト・経済性の課題

  • 建設コストの削減:
    • 現在の大型実験炉(例:ITER)は、非常に巨大で複雑な設備であり、建設コストが膨大です。商用炉として経済的に成り立つには、小型化・モジュール化、あるいは建設期間の短縮により、発電単価を既存電源並み、またはそれ以下に抑える必要があります。
    • この経済性の達成こそが、最終的な商業化の鍵となります。

🔗 他のエネルギー技術との連携

核融合発電は、将来的な目標ですが、他のGX技術と連携することで、互いのメリットを活かし、脱炭素化を段階的に進めることが期待されています。

1. 再生可能エネルギー(再エネ)との連携

  • 脱炭素社会の完成: 再エネ(太陽光・風力)は出力が変動しやすく、電力の安定供給という点で課題があります。核融合は、ベースロード電源として安定的に電力を供給できるため、再エネの変動性を補完し、100%脱炭素電源による電力システムを完成させることが期待されます。

2. 水素製造との連携(将来の可能性)

  • 熱を利用した水素製造: 核融合炉は発電だけでなく、大量の熱エネルギーを発生させます。この熱を利用して、水を分解する高温ガス炉のようなアプローチで**効率的な水素製造(水電解や熱化学法)**を行うことが、将来的な技術連携として考えられています。
  • 水素社会への貢献: 核融合によるクリーンな電力を活用して製造された水素は、輸送・産業部門の脱炭素化を大きく進めるためのクリーンなエネルギーキャリアとして活用できます。

3. 次世代革新炉(SMR等)との技術連携

  • 共通する基盤技術: 核融合とSMRを含む次世代の原子力技術は、高性能な材料開発、熱の利用技術、遠隔保守技術など、共通する多くの基盤技術を持っています。それぞれのプロジェクトで得られた知見を相互に活用し、技術開発の効率を高めることが重要です。

核融合発電は、その実現が非常に困難であるからこそ、国家が長期的な視点で投資を継続し、世界的な技術競争を勝ち抜く必要があります。

GX-ZEH基準のポスト太陽光発電への対応

将来、核融合発電、小型モジュール炉発電の稼働を想定してGX-ZEH基準では太陽光発電の創電がなくても、断熱性能を等級5から6に上げ、省エネ性能を一次エネルギー消費量20%削減から35%削減に上げて断熱性、省エネ性だけで脱炭素を追求する試みが盛り込まれています。

実際、2027年のGX-ZEH基準施行時点においては、ZEH Oriennted高層マンションのような太陽光発電の設置が難しい場合でも断熱性能等級6,省エネ性能35%削減で基準認定されます。

皆様、核融合発電って普段聞かない言葉と思いますが、現在資源を海外からの輸入に頼っている日本が将来自立で安定調達できるための道といえ、1000億円の予算を計上して、立ち上げ者でもある高市首相のもと新しい日本を築き上げていこうという国家プロジェクトです。

核融合発電に関して、皆様はどう思われますか?どんなことでも是非メッセージをお寄せください。

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