相続税対策に有効な不動産活用で失敗しない方法
1 相続税対策に不動産が有効な理由
①現金を不動産に換えた場合時価としての資産価値を残しながら相続税評価額を下げることができる。土地や建物の価値は原則的に時価(実勢価格)より安く(7~8割程度に)評価されます。
②不動産を人に貸すことにより使用、処分、解体等が出来なくなり借地権割合、借家権割合により評価額を下げることができる。
貸家建付地の相続税評価額=自用地の場合の土地の相続税評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
賃貸用建物相続税評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
③土地購入、建物建築等のための借入負債額分で評価額を下げることができる。
2 相続税対策に有効な不動産の条件
①時価と相続税評価額にギャップがある。ギャップが大きいほど相続対策の効果が高く大都市圏、駅近く等に所在する不動産。
②流動性のある不動産。時期を見て即売買出来れば人気が上がり金融機関の融資が付きやすく時価上昇をもたらす。
③収益性がある(利回りが高い)不動産。収益性がなければ相続税対策できても資金繰りに支障をきたすようになり、不動産をなくす。
3 相続税対策に有効な不動産の活用で失敗しない方法
①賃貸期間通して収益性を維持します。収支シミュレーション、FCR(総収益率)、YG(イールドギャップ)を駆使して収益が低下傾向がある場合は対策を打って収益維持に努めます。
②被相続人自身の意思でマンション等について建築請負契約を締結しないと相続税対策は無効になり不動産は時価での評価になります。
➂明らかに相続税対策のためのマンション建設であることを文書等に表示しないように注意してください。。例えば銀行の融資申し込み申請書類の建築目的が相続税対策と記載されていたことが原因で相続税対策が無効になることがあります。このような租税回避行為と認定されるのは高齢な方が相続直前に金融機関から多額の借り入れによりマンションを購入し相続後すぐに売却するような節税対策以外の目的が認められない場合です。あくまでも遺産分割や資産運用の一環であることを明確にする必要があります。
④相続税申告後3年以内の物件売却で相続税対策は無効になります。
⑤相続発生日以前3年以内の不動産による相続対策はなかったことになります。3年以内のルールと呼ばれ早めの相続税対策が望まれます。
⑥小規模宅地の特例で相続税評価額が引き下げら納税額がゼロとなっても小規模宅地の特例の適用申請は必要です。
⑦親である被相続人が健全な時に配偶者,相続人全員と遺産分割、賃貸経営の引継ぎ分担等について合意しておく必要があります。また出来れば遺書を残しておくにこしたことはありません。