相続税対策。住宅取得資金贈与の最大1000万円非課税特例、効果は高いが要件にうっかりすると適用されない!

住宅取得すべき年齢がある

生前贈与では、毎年110万円までの贈与は非課税という暦年贈与が一般的ですが、子や孫が住宅を購入するための資金援助であれば、年間110万円に加えて最大1000万円まで贈与税が非課税とされる特例、「住宅取得等資金贈与の非課税制度」があります。

しかし適用を受けるための要件が細かく、厳しくはありませんが注意してないと適用されない場合が多いので、以下の点に十分注意を払って下さい。

要件1 贈与を受けた年の翌年3月15日までに注文戸建て住宅の新築、または新築マンションを取得していること

注文戸建て住宅の新築は3月15日までに完成引き渡しが済んでいなくても屋根(骨組みを含む)があり、土地に定着した建造物として認められる状態であればOKですが、新築マンションの場合は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、完成引き渡しが受けてないと非課税特例が適用されず、贈与税を課されます。新築マンションは、売買契約日と引渡日までの期間が非常に長いので実際にミスが多く発生しており、要注意です。贈与を3月15日の1~2か月前に受けて、翌年の3月15日の前の引渡を見越してその直前に残金を支払うようスケジュール調整するなどご自分で工夫してください。

要件2 合計所得金額2000万円を超えないこと

住宅取得等資金贈与の非課税は、贈与受ける人の所得金額が2000万円を超えると使えなくなります。

例えば、年収500万円のサラリーマンでも、今の自宅を売却したところ、売却益が1600万円出たら、給与所得と譲渡所得を合算して2000万円を超えると、住宅取得等資金贈与の非課税を使うことができません。

また、譲渡所得に対して、3000万円の特別控除等を使う場合でも、合計所得金額の判定は、特別控除適用前で判定しますので、注意が必要です。

自宅を売却して譲渡所得が発生する見込みの方は、売却する年と贈与受ける年をずらすことで、住宅取得等資金贈与の非課税を使うことができますのでスケジュールに工夫をしましょう。

要件3 贈与税がゼロでも必ず申告が必要

住宅取得等資金贈与の非課税制度は、贈与を受けた金額が非課税の範囲内であっても、申告期限までに必ず贈与税の申告をしなければいけません。

もしも、贈与税の申告をしていないことが税務署の調査官に知られたら、非課税特例なしの贈与を受けた金額から110万円を引いた金額に通常の贈与税率かけて計算した贈与税を払う必要があります。そしてさらに、無申告加算税と延滞税のペナルティーが発生します。

ちなみに、1000万円の贈与を受けた場合、申告をした、しないで贈与税は0円と177万円の違いが生じます。

したがって、贈与をした年の翌年2月1日から3月15日の申告期限に必ず1日たりとも遅れず申告しましょう。

要件4 贈与する人の実の子や孫(ひ孫)にしか適用できない

住宅取得等資金贈与の非課税特例は子の配偶者(婿、嫁)に対する贈与には使えません。

ただ、住宅取得等資金贈与の非課税特例で、子供に住宅を持たせるより、小規模宅地等の特例を適用して、家を離れて3年以上借家に住んでいる子供(家なき子)に8割引きの金額で土地を相続させるとか、あるいは、親と子が連名で家を購入し親が子に無償で貸してあげると、親が建物に拠出した資金は相続時にはかなり低く評価されますので、こちらの方が節税効果が出る場合もあります。合わせて、住宅取得等資金贈与の非課税特例は有用ですが、まだ細かい要件が多くありますので相続専門の税理士に相談してください。

今、相続税対策及び土地活用を考えておられる方は、是非この記事を参考にしてみてください。

土地活用のご相談はお気軽にお問い合わせください。当サイトは土地活用の専門家として、土地オーナーの方々の資産を守るお手伝いをさせていただきます。