失敗しない土地活用。土地活用の成功は収益性が不可欠。立地、地域の賃貸需要を反映したプランについて事業計画シミュレーション、利回りで客観的に収益性を追究していく必要があります。

賃貸事業は延々と続いていきます。

利回りといえば収益性の目安として一般に認識されています。ところが多くの土地オーナーが表面利回りで収益性が測れると勘違いし土地活用の失敗をしています。表面利回り=年間満室想定家賃収入÷建築工事費で分母の建築工事費をコストダウンして表面利回りを上げて収益性を確保しようとするのですが、それによって建物はみすぼらしくなり入居者は集まらず品質が落ちることによって稼働後修繕費が頻繫に発生するのです。

実は表面利回りは投資パーフォマンスの実態を正確に表していません。本当の利回りを出すには分母の建築工事費をさらに付帯費用を含めたものとしさらにその他諸費用も加算して総投資額とすべきです。分子は年間満室想定家賃収入から空き室・滞納損失引いて実効総収入としさらに運営費を控除した営業純利益(NOI)とすべきです。その結果土地活用の世界で利回りとして認められるのは

総収益率(FCR)=NOI÷総投資額 

です。

したがって上で述べた表面利回りで収益性が取れていても現実ではFCRで収益性が取れておらず賃貸事業稼働後に資金ショートが急に発生したりします。

また借入比率が高い場合の利回りとしてイールドギャップ(YG)があります。失敗しない土地活用の条件の一つとして自己資本比率をできるだけ高くとるというのがありますがなかなか一部の層の方々以外はどうしても金融機関等から融資を受ける必要があるのが実情です。こういった場合の借入資金の効率性も含む利回りとして収益性の検証に効果を発揮します。

YG=FCR-ローン定数(K)

ローン定数K(%)=年間返済額÷総借入金額(残高)

YGを最大化するためにはKを最小化すればよくそのためには①融資期間を長期にする②より低金利で借りることが必要になります。

また税引前CF=自己資金×FCR+借入額×YGと分割され

収益性の直接的な成果としての税引前CFを高めるためには①自己資金を増やす②YGを最大化すればよいことがわかります。

以上収益性を客観的に検証するための指標としてFCR、YG、税引き前CFを紹介しましたがFCRは地域別のデータ値より下回る場合、YGは1.0~1.5%を下回る場合はその事業計画は危険であることを示しています。この場合賃料、建物建築費、融資条件のいずれかに問題がありますのでただちにプラン、事業計画を抜本的に変更する必要があります。またこの検証方法はハウスメーカー等あらゆる土地活用業者の提案の良し悪しの切り分けにお使い下さい。

またこれらの指標は年度が経過するとともに変化していきますから賃貸期間にわたって長期的にその推移動向について事業計画シュミレーション(≡キー(スマホの場合)→事業計画確定メニューキー(パソコンの場合)→「事業計画シミュレーションの活用」ページ参照)で確認する必要があります。

土地活用の失敗とは収益性低下→資金ショートの発生により賃貸事業を継続できないことを指します。失敗原因は幾多の業者がSNSでいろいろ紹介してますが最終的にはそれらのすべては収益性低下→資金ショートとして顕在化してきますから収益性の検証は土地活用の成功にはなくてはならない根本的な対策になります。ただその収益性の検証も客観的なデータにもとずく必要があります。したがってオーナーは事業計画確定にはじまり賃貸開始後も事業計画シミュレーション、FCR、YG、税引前CF、税引後CFを駆使して収益性を検証していき、収益性が低下する兆候があれば対策を行って収益性維持に努める必要があります。